バーバー吉野

小学生の子供たちは、床屋の「バーバー吉野」の前を通るとき、店の前を掃除するおばちゃんに必ず挨拶をする。誰もが顔見知りで、夕方には町内放送が響き渡る田舎町。だが、男の子たちの頭は前髪を一直線に切りそろえた妙ちくりんな髪型で統一されている。男の子は「バーバー吉野」でその髪型にするのが昔からの慣わしなのだ。だがある日、東京から茶髪の転校生がやって来たことから、町全体を揺るがす問題へ発展していく……。

町の伝統を守るため、子供達全員が吉野狩りをしている。普通じゃちょっと考えられないけど、こういう田舎町だとありえそうに思えてしまう。町の風景もオバチャンも学校もクラスメイトも、田舎を忠実に表現している。私の地元もこんな感じだよなーーとプッと笑いながら見入ってしまった。うまくまとめている。この監督は、田舎町で育ったとしか思えないんだが、実際はどうなんだろう。
俳優達も名役者揃いだ。森下能幸が町の道化役に扮しているのも面白いしハマッている。なんといっても”もたいまさこ”は光っていた。あんな田舎町に溶け込める女優いないよな、本当にいるし、ああいうオバチャン。そして子役も頑張っていた。子役っていうか、演技力は俳優でしょうな。特に床屋の息子(米田良)と転校生(石田法嗣)は要チェック。転校生は月9エンジンなんかに出てたりする。今後が楽しみだ。
映画批評サイトをみると、世間的には評価が低いようだ。”設定がありえない””つっこみどころが満載”とかいう理由みたいだけど、この映画はそういうところはアリキで観るものであって、そんなところを気にしていたら、この映画の本当の楽しさはわからないとおもう。こういう評価をした人達はきっと都会で育ったんだろう。きっと田舎町のあたたさかというかそういうやつを知らない人なんだと思う。

88点